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鹿島槍そして五竜岳3

雨・風・雷・五竜越え 

スゴイ風の音に目が醒めた。外は真っ暗だけど、強風に負けないくらい雨もふっているらしい。 5時の出発予定を延ばし、天候の回復を待ったが止む気配はなく、多少、勢いの弱まったところで、表に出た。カメラはビニールで完全防水し、ザックに入れた。
だから 写真はあまりない。

2008年7月28日 (月) 雨

のっけから急な岩を登らねばならぬ。下るよりまだマシと思いながらの岩越えだ。
いやなのは、さっきから 雷が鳴り出したこと。

Img_2268s_2

ぴかっ! とくると、声に出して  「1.2.3.・・・」 
音がなるまでの 秒数をカウントしてみる。  
10秒以上だと 遠い気がする。 5秒くらいだと 近いのか?
待避の目安って どのくらいなのだろう。

5秒 4秒 6秒 と 立て続けに鳴ったときは さすがに身近に感じたのて
待避の体勢をとった。 2秒後の雷鳴はすぐ傍に落ちた気がする。

風がますます強くなっている。背中のザックカバーがぱたぱた鳴っている。
縛ってくれば良かったと後悔。でもしかたない。

Img_2266s  口の沢ノコル、道標が立つ。
お天気が良ければのんびり休憩できそうな撓みだが、風の通り道でもある。立ち止まることすらできない。
じき風の来ない岩陰に回り込めたので、やっと休憩にできた。

そんなとき、きのう小屋で顔見知りになった人たちが追いついてきた
「お先に~、唐松山荘で会いましょう」と先を行く
これはラッキー、あとにつこうと思ったが、引き離されてしまった。。
風が強いせいか気温自体が低いのか ガタガタ震えが止まらない。こんな経験初めてだ、カッパの下はフリースなのに・・・
 

Img_2275s_2 あいかわらずゴツゴツした岩が続く。
おそらく深い谷が口を開け、
異形の岩が聳えているんだろう
霧でなにもわからないのは、幸なのかも?

とはいえ、前方が見えにくいのは不安だ、道を拾うというより、岩につけられたマーキングを追っていく感じ。

やがて、大きな岩の基部に着いた(おそらくG5)
踏み跡を辿り、この岩の向こう側に出てしまえば、また強風にさらされるのだろうと、ゆっくり休むことにした。霧は濃いが、雨はほとんど気にならなくなった。

Img_2272s_2

こんな雨降りの中、
ほとんどの花が閉じたままなのに、チシマギキョウだけは 凛とした姿をくずさない。

そして あちこちで鮮やかな青色の花を咲かせ、わたしを力づけてくれたのだ。

・・

五竜山荘の方から来た登山者曰く 「この先に 10本梯子があるよ」 梯子が10本なんてホント? おおげさなのじゃない?

いつのまにか、雷は止んだようだ (^o^) それだけでも事態が好転したようで、嬉しい、


Img_2274s
霧に巻かれ風に吹かれ、ときおり雨にも悩まされるきょうの稜線、

もくもくと歩きながら、さっき追いぬいていった人たちも、すれちがった人たちも、今まさにこの時間、稜線のどこかで、わたしと同じように歩いているのだろうな。

  

やがて現れたる10本ハシゴ、おおげさじゃなく、ほんとだ。10本ほどのハシゴが連続して現れる、ちょっとうんざりする。
ウルップソウの群生地の傍らを通りすぎる。花はもう終わっていたけれど、晴れていたら丹念に観察し、咲き残りを見つけていただろう

やがて大きなガレ場のドームの登りになった。
ちょうど降りてきた人が、「 山頂はすぐですよ、」 と教えてくれる。
ガレ場には黄色いスミレがたくさん咲いていたが、眺めている余裕などなかったのが。心残りだ。」

P7280164s そうしてあっけなく道標の前に出る。
「五竜岳」の文字がない、なんとまあ
奥ゆかしい山なのだろう。

三角点はちょっと北にずれていたような地図のうろ覚えがあったので 「どうせなら、三角点を見てこよう」 と横の道に入ったら、一瞬だけ薄れた霧。現れたピーク。

「あらっ、まだ奧に高い所があるようだ」Img_2287s_2
「もしや、ピークはあっちなのでは?」 と気づいた。 5分ほどで無事三角点、& 山名表示に到達。

ふー、うっかり山頂を逃すところであった。
右は「五竜岳」に立った証拠写真→



ランチは五竜でとの計画は当然お流れ、五竜山荘まで おあずけだ。

五竜岳を越えると、クサリ場は若干あるものの、どうということもなく降りることが出来る。足がもう少し長ければなぁ、という大きな段差の岩場では お尻ズリズリで降りてしまいカッパに穴を空けてしまった。

とにかく風が強い。うかうかしていると吹き飛ばされるかも知れない。

そんな風と 濃い霧の中を歩いていたので、五竜山荘が建っているのに、気づいたのは、ほんの
間近になってからだ。  下の写真に山小屋が写っていますが、分かるでしょうか?

Img_2290s 小屋に入ったのは12時。
 
「唐松山荘までどのくらいかかりますか?」「4時間くらいですねぇ」「う~~、じゃ、もう無理」「きょうは、ここまで、としよう」

 山荘では 稜線で追い抜かれ、唐松山荘での再会を期した人が、にこにこ待っていた (^o^)v 「わ~、あなたも? みな、おんなじ考えだね」
とはいえ、この悪天候をついて唐松山荘に向かっていった人もいるし、このまま、下山した人もいる。 まだ大勢の人が、この小屋に向かって歩いている。

Img_2293s

五竜泊まりになったので、今回の縦走はここまでになった。八方尾根のお花たちには会えなくなったけれど、自覚している以上に疲れていたと思う。
(下山しても数日は 左腕が痺れるような感じ、足でなく腕の筋肉痛になった。)

朝食 ご飯、お茶漬け(ポットに湯を入れてきた、お茶漬けの素) みそ汁  ワカサギの甘煮 クルミとコウナゴ アサリの佃煮

昼食 ラーメン 玉子が割れてしまった

夕食 たらこスパゲティ アサリの佃煮をあえたら、意外や美味。  でも次回は ミートソースも持ってこようと思う

この小屋でもまた モンベルTシャツと2枚と靴下2足とバンダナ購入してしまう。
なんか荷物が増えました  (^^)ゞ 

遠見尾根で下山しま~す 

八方尾根は、またの機会になりました。 
残念なのは、最終日もまた雨で明け、雨が止んでも霧は晴れず
結局、五竜は姿を見せてくれなかったことでした。

2008年7月29日 (火) 雨、曇りのち晴れ

小屋の周りは 広いお花畑。きょうになって気がついた。
遠見尾根は 歩きやすく。晴れていればきっと展望のよさそうな尾根だ。

最終日のレポは花の写真を並べ、ファイナーレとします。
水も滴る美形ばかりですぞ (笑)

Ab
クルマユリ                   アズマギク

Eaa
ハクサンタイゲキ                 ハッポウワレモコウ

Gf
ショウジョウバカマ                 ツマトリソウ

Cbb
ベニバナイチコ                  アオノツガザクラ

Hi
ミヤマホツツジ                 オオコメツツジ

Img_2326s

西遠見を過ぎたあたり。
ガスがあがり始め、谷あいに陽が射しこんだ。 でも 一瞬のできごとで
すぐさま あたりは白い霧に包まれてしまう。(下山路の遠見尾根にて)


【コース】29日 キレット小屋05:50-口ノ沢のコル07:00(20)-北尾根の頭07:15(15)-G5-五竜岳△10:55(20)-五竜山荘12:00(泊)

30日 五竜山荘06:15-白岳06:25-西遠見07:50-大遠見山08:20-中遠見09:35-小遠見09:55-散策路10:50-アルプス平駅11:35→(ゴンドラ)とうみ駅11:45 

【地図】昭文社:鹿島槍・五竜

ながながと おつきあいくださいまして ありがとうございました 
では また (^^)/~~~

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コメント

こんにちわ。
最後はどうなるかとハラハラする感じでしたが残念でしたね。天気はどうしようもないので仕方ないですよね。

鹿島槍や五竜は未だ登っていませんので私も何時しか登りたいとは思っていますが、黄葉の時も良さそうですよね。

ba_sobuさんの気合には感服します。山は逃げないとはこういう場合にピッタリですよね。次回のチャンスに恵まれる事を祈っています。

投稿: フクシア | 2008年8月 9日 (土) 10時12分

こんばんは。
ハラハラドキドキしました。
私が歩いたときは4日間ず~と晴れだったので安心して歩けました。

雷・強風の中ba_sobuさんだから歩けたのだと思います。
高山で雷にあったことはあるけれど全部小屋に入ってからでした。
それでも音と豪雨にびびりっぱなしでした。
ba_sobuさん すごい体験!

天候によって難易度がこんなに違うんだと実感しています。

投稿: カルディナ | 2008年8月 9日 (土) 22時23分

こんばんわ~。
通しで拝見しました。
お天気はホントに残念でしたね。
でも、こればかりはグチ言っても始まらないですし。

核心部の通過、もしかしたら見えない方が良かったのかも?
でも、ba_sobuさん強いですね~。

投稿: Hg | 2008年8月 9日 (土) 22時37分

フクシアさんこんばんわ
なかなか思い出深い山になりました。
鹿島槍五竜は 面白い山だと思います
お花もたくさん咲いていたし、
フクシアさんなら 2泊で大丈夫。

投稿: ba_sobu | 2008年8月10日 (日) 19時47分

カルディナさん が 歩かれたときは
全部晴なんて、きっとさぞや 怖かったことでしょうね。
というか、わたしは晴れていたら足がすくんでいたかも
知れません。

雷は嫌でならなかったけれど、
霧のおかげで知らぬが仏の 八峰越えでした。

家で写真を整理すると、お花が多いし、青空も
たくさん。 楽しい山行きでした。

カルディナさんは9月とか?
どのあたりを ご予定していますか?

投稿: ba_sobu | 2008年8月10日 (日) 19時53分

Hgさん 長々お読みいただきありがとうございました

扇沢にいけたのも、この地名を最初に覚えさせてくださった
Hgさんのおかげです。

>核心部の通過、もしかしたら見えない方が良かったのかも?

どきっ!
まさにその通り。霧で怖さも半減でした。
それに雷については 無知の無謀さを露呈することになりました、数々のラッキーに恵まれた、山行だったと思います、

知らないで、危険をまたいで来たこと、今まで何度かあります。 
後になって、「かなり危ないことだった」と知り、冷や汗たら~り。とかね  (^^)ゞ

投稿: ba_sobu | 2008年8月10日 (日) 20時01分

一番通過に気を遣うところが一番大変だったんですね。雨風だけならまだいいけど雷が・・・不安定なときの高山はマジ怖いわ。そんな中同じ気持ちを共有できた人たちがいたというのは小屋止まりの一つの醍醐味?かなあ??

キレット小屋での夕焼けが素敵ですね。荒れた中でもこういう一面を見せてくれるから山はやめられないんですよね~。ボクもここは必ず歩くつもりでいます。

投稿: komado | 2008年8月11日 (月) 20時46分

> そんな中同じ気持ちを共有できた人たちがいたというのは小屋止まりの一つの醍醐味?かなあ

そうそう それはね、自炊部屋っていうのが ミソかも。
 
食堂や寝る部屋だと 知らない人と話することが出来ても、せいぜいお隣にいる人とくらいだけど 今回の自炊部屋ではみなが輪になって話できました。

自炊部屋の環境は 小屋によって大差があって、そそくさと
食事して出て行かざるを得ないところもあるし、いちがいには言えないですけどね。

>キレット小屋の夕焼け 
綺麗すぎ クリアすぎ、 空気の不安定を象徴していたのかも。 夕焼け見てる人のほとんどが(わたしも含め)あすの 晴天を確信していましたが 、岩などやりそうなおっちゃんが 「こりゃ、天気が悪くなるわ・・」って おっしゃったのが 当たりました。

でもあのクリアさは 忘れられません。劔のシルエットが
絵に描いた ようでした  (^^)

投稿: ba_sobu | 2008年8月14日 (木) 21時45分

そういえば今回はなんでそんなにTシャツを購入されたのでしょうか。デザインがよかったから?それておも単に天気がよくなかったからとか??単純な疑問。前のコメントに書くの忘れたので書いちゃいました(^^ゞ。

投稿: komado | 2008年8月16日 (土) 18時47分

komadoさん それはですね。
安かったからと小屋のロゴが小さかったから。
でも Tシャツ3枚はおみやげにあげてしまい
わたしは一枚確保しました。


投稿: ba_sobu | 2008年8月21日 (木) 23時21分

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