2008年1月13日(日) 晴れ
三条新橋から黒川鶏冠山をめざす。 前回は去年6月、本降りの雨にたたられ山頂は断念、ノゾキノタワから巡視路を下ったのだ。
夏と冬ではこうも違うものなのか。6月は圧倒的に緑、シダさえ露っぽく頭の上に覆いかぶさるような印象だった。それなのにきょうは、見あげると高い青天井に梢が絡まり、陽ざしと抜けるような青空がある。冬こそ巨木を愛でる季節なのだと、実感できた一日だった。
登りだしてすぐ、こんな大木があちこちに現れた。
「なんの木だろう??」
だいたいが 根元から二またに分かれ、
木肌は大きく四角に剥がれている。
そして指紋のような模様がある。
梢はぶなと同じく繊細なデザイン。
地面に散り積もる落ち葉は、ケヤキかブナか、いわゆるフツーの形の葉っぱだ。(オノオレカンバ!では?、Hg氏より)
昨日は雨だったのか、しっとりした空気にタカノツメが香る。散ったばかりのような色よい落ち葉が多いのも意外だ。
巨木が多い。裸木は立ち姿が際立ち、それぞれが個性をアピールしてくる。 一本一本をカメラに収めてゆくので、時間がかかってしまうが 「かまうもんか」なんて気持ちで ノンキに歩いていた。
尾根には 老木の太い幹がどう~っと倒れている。倒れてさえ存在感を失わない。
←ちなみに6月の同じ倒木。前回は、このあたりでヘロヘロだったけど、今回は立ち止まってばかりいたから? あまり苦に感じない。 おまけに急坂のおかげで、知らずに標高をかせいでいた(^^)
自然に還ってゆく老木と、伸び盛りの若木が、ほどよく混在しているこの森は、エネルギーに満ちていると思う。倒れかかった老木は神々しい。
1330mで右から大久保尾根が合流、東京都の埋標もある。このあたりから雪が解けず、地面が白くなっている。
灌木の梢は氷の膜でくるまれ、葉先の雫は凍っている。そこに朝日が当たり、キラキラ輝いている。
アセビが多くなり岩っぽくなってくると、なんと雪の下にはイワカガミの赤茶の葉がびっしり茂っていた。
1507mで左から顕著な尾根がやってきて、わたしたちも右折。 栂の大木が秩父らしい雰囲気をかもしだしている。
やがて尾根上は岩場になり、乗り越えたり左を巻いたりしながら面白く越えて行く。
やっぱりここにもイワカガミ。
岩が終わると涼やかな尾根が続き、下には広々とした撓が見えてきた。
ノゾキノタワである。
さっそく森の主のミズナラの根元に立ち寄り、ごあいさつ。
みんなも、驚いたような恐れ入ったような表情で、見あげていた。
ノゾキノタワは広々と居心地の良い広場、日当たりもあるので早めのお昼にした。
「11時かぁ」「意外に時間がかかっちゃった(^^)」
お昼寝にももってこい、だけど、だけど、居座れない。 きょうこそ山頂目指します、と、12時すぎに出発。
すぐ上に横切る水平巡視路をこえ、尾根どおしに上がるのが、山頂までの最短距離、1時間もあればとの目論見。
が、のっけから凍りついた急斜面には、気を遣う。 ヒノキ林になっても足場はグズで凍土は滑る。「下山になったら難儀かも」と 内心、不安なわたしであった、
1時間もして、ようよう黒川山直下に出ると、明るい雑木林の開けた道に。ウワハッハッ…♪ 日当たりの良い雑木林、キラキラキラキラ、木についた氷が、みんな光っている。キラキラキラキラ、とても綺麗だ。
エイサ・ホイサ、斜面を登り、黒川山三角点峰の、西の展望台に足を伸ばす。
身を切るような北風だけど、気にしない。
南アルプスが大きい。
奥秩父の山々も間近だ、飛龍と前飛龍、将監峠はずいぶん大きな撓みだな。
逆光の富士山は陰翳がハッキリ、これもまたよし
。
眼下にうねる黒い山並みは、霧氷に覆われ、白いベールがかかったよう、「いいね、いいね」を連発していた。
さて、下りよう。
登ってきた尾根はやめ、山頂の下で出会った道を西に行ってみようとの案。
賛成、賛成、ああ良かったよ、さっきの道を下りるのいやだったもん。
ということで、
巡視路を西に進むとじきに
南尾根手前の撓みを、ジグザグジグザグ下りはじめた。やったね。
♪♪、南向き、風はなく、陽ざしたっぶりなおちば道。
気分は上々、跳ねるように、調子に乗ってぐんぐん下る。
ところどころに 大ブナやオオミズナラの姿。
やがて予想通り水平道に行き当たる。ここは左折(道標の→黒川金山方向)。
オオイタヤカエデとか(yamayam氏より)
寺屋敷尾根を回り込むと、山陰に入り、辺りは白い冬景色になった。
そんな中、なだらかな巡視路を伝って行く。 ホントは寒いはずなのに、なんだか暖かい気分でいられるのは、豊かな森のおかけ?
きょうのランチ場のノゾキノタワを横目に通り過ぎ、じき現れた道標の「→黒川金山」に寄ってみることに。
分岐から5分ほどで入り口を塞がれた洞窟が現れた。 これがあの黒川金山の跡か。説明板はおろか名札さえないのは意外だった、金山跡の先に広がる、台地状の一画は、かつての住居跡?(だそうだ)
今はなんの変哲もない…
雪に覆われた雑木林には、静けさがあるばかり、かつての賑やかさ、厳しさ、悲しさが、木霊するようで、通り抜けるのが重いのは気のせいか?
先の巡視路と合流し、黒川谷を高巻くようになると、またまた深い落ち葉道。思い切り蹴散らしながら歩くのは小気味よい。
藤尾橋との分岐を過ぎると、沢沿いの下りとなり、美しいなめ滝を見るとじき黒川橋に出る。かつての橋桁(残骸)を見あげ、現在の木橋を渡ると林道が現れ、ほどなく駐車場所に到着した。
【コース】三条新橋P 07:35-1330m標柱 10:00-1507m10:45-ノゾキノタワ11:15/12:10-巡視路13:10-黒川山展望地13:35(10)-巡視路14:00-立岩沢14:20-金山跡14:55-黒川橋16:10-P16:30 【地図】エアリア:大菩薩 2.5万:柳沢峠
木々を愛で、展望を楽しみ、落ち葉道をたゆたいながら歩く、きょうの行程。
計画の時には予想もしていなかった素晴らしいものが、次々の目の前にあらわれた。
ひとつだけでも素晴らしいのに、こんなにいちどきに楽しめた! なんてラッキーなんだろう (^-^)
ではまた ^-^)/~~~~
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