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大滝峠上~信玄平

  2007年 1月21日 (土) 曇

朽ちた道標と一年ぶりに再会した     (セギノ沢と水晶沢の中間尾根にて)Cimg6961s

去年の2月 地蔵平からセギノ沢と水晶沢の中間尾根を上っているとき城ヶ尾峠~地蔵平~畦ヶ丸)、思いがけず朽ちた道標に出会いました。
旧東海自然歩道が横切っていたのです。大滝峠方向は道が残っていましたが、信玄平方向は崩れ、径路が眼下にありました。
その台地は西側がひらけ、尾根尾根に囲まれた谷には雑木林のベージュ色がうねり、大ブナの白い幹が何本も見えました。標高1000mあたりを巡っていく旧歩道は、あの谷の沢から沢を渡りながら豊かな木々を楽しむために作られたのかもしれません。しかし15年前に封印されて以来、お気楽には行かれない、けれどチャンスがあったら尋ねてみたい道でした

【コース】横浜活動センターP 7:20-忘路峠 8:15-モロクボ沢の頭 8:40- 畦ヶ丸避難小屋 09:10-大滝峠上・旧歩道へ09:55-セギノ沢10:25-水晶沢11:00-戸沢12:00(35)-赤沢(左) 13:55(10)-(本谷) 14:15-(右) 14:40-信玄平15:00(15)-城ヶ尾峠 16:10 (10)-林道16:40-P17:30 【地図】昭文社:丹沢 2.5万:中川

道志ノ湯からさらに奥の横浜市野外活動センター近くに駐車。 甲相国境稜線に最短の忘路峠に出るべくキャンプ場を抜けてゆきます。忘路峠からブナの大木がボチボチ現れる稜線を東に20分ほどで、モロクボ沢ノ頭。ひと汗かいています、ここから畦ヶ丸避難小屋まで行き、さらに南の大滝峠上に向かいます。
「去年、水晶沢左岸尾根を上がったときは、この辺りの出たんだっけ」と茅の藪を覗いたりしながら、さらに南下していくと林床の涼しげなブナ林が右下に広がっていました。この中を抜けても行かれるときいて、さっそくブナ林を散策しつつ進みます

Cimg6926

檜があらわれてくると大滝峠上の分岐、大滝橋への道が分かれます。すぐ先が旧東海自然歩道の入り口。絵看板に 『沢が多く、たびたびの出水により荒廃し危険なため、東海自然歩道は、~、平成4年度よりルートを変更しております。』 とありました。
兜の緒をしめなおし、かの道に入ります。9時55分。

Cimg6936s 最初に現れた桟道からして、傾いたり草が生えていたり石が乗っかっていたり、トラバースの谷はえぐれ道は細り、気を抜けません。尾根を乗っ越すところで少しホッとするのですが、谷にさしかかったとたん緊張が高まります。
Cimg6941s_4 コースは地形図(平成7年度版)、エアリアの地図の破線の一本道です。

今回は、各地点での風景を載せてみます。
本当に緊張した場所、難儀した場所では自分のことに精いっぱいで、写真はありません。

Cimg6939_2

最初の沢あたりの梯子、
前半は涸れ沢が多かったです。

年季の入った道標がポツンと・・・。 Cimg6943s

古めかしい桟道
必ず確認してから通過します。

Cimg6956s_1 セギノ沢は砂地の涸れ沢。壊れた道標が何本も、埋まっていました。
沢の暴れたようすがうかがわれます。

道はヒノキの尾根を巻き始めます、その突端にトップ写真の古い道標が立っています。一年ぶりの再会、←城ヶ尾峠・大滝峠→ と判じられます。

Cimg6968 水晶沢

Cimg6970sCimg6974s

水晶沢をわたり尾根を巻いて行く。うすい藪が広がりだす。

Cimg6978_1

大きく尾根を巻きながらの道はこのルートでいちばん安定していた場所。西と南がひらけ気分良く歩いて行けました。ササヤブはあるものの歩行に障りなく、大ブナを愛でながら♪♪♪です。諦めていた富士山が見えたのは嬉しかったです(^-^)

Cimg6997s 大ブナが倒れ乗り越えるのに一苦労な場面も。足が届かなかったのはba_sobuだけだった、トホホ・・・

Cimg6989s

やがて谷に回り込み始めると、川音が。
左下遠くに三ツ釜の滝がみえました。戸沢です。

Cimg6985s Cimg7008s_1

お時間もちょうどよいので、この戸沢のほとりでランチ。偶然とはいえ、ベストなランチ場でした。

戸沢から上がる梯子がこわれ(壊れ梯子は毎度なのですが)ている上に、地盤が悪く、狭い経路は足を載せるそばから崩れる始末、どうにか平坦地まであがり ホッとしたのもつかの間で、猛烈なササヤブが待っていました。

Cimg7020s Cimg7021s

みんなで道を確認しながら進みますが、笹の中にこんな道標が不意に現れると正しかったと確認できて、ホッとします。山側の笹を押さえる右手も疲れてしまい、だらり両手を下げ頭から突っ込んで行くと、ピシピシ笹の鞭は顔を打ちつけてきました。

Cimg7028s

沢に降りるときは緊張しますが、降りてしまえば笹ヤブから解放され、ひとときの安堵感。そしてまた緊張して対岸に上がり、再びササヤブとの格闘。。。。
こんな藪はいつまでも続くはずがないと思うのですが、今回は終わりがない感じ。「またかよ~」「まだかよ~」先頭からうんざりした声が・・・

Cimg7044 赤沢(本谷)

Cimg7048s

赤谷本谷の次の支流。
広々としていました。
道標の城ヶ尾峠はなぜにか、逆(上流)を指していました。

Cimg7051s Cimg7057s

そうして 藪をコギ、谷をへづり歩き続けます。
最後の最後まで気を抜くことができませんでした。

Cimg7061s

この空の広がりが見えたら、もうすぐ信玄平。


でもでも、ホントに、信玄平の↓道標の前に立つまで、気を緩めてはなりませぬ

Cimg7071s Cimg7070s_1

あとは登山道を城ヶ尾峠まで戻ります。
城ヶ尾山への上り道から右へ、峠への巻き道に入ります。ふだんなら、歩いた尾根を見やりながら帰るのですが、きょう歩いた径路は見下ろす笹の奥底なのです。

Cimg7080

城ヶ尾峠で一息入れ、北斜面の雪道を下りCimg7085s 林道に出たときはもう薄暗くなっていました。でも、林道を歩いてさえいれば朝の駐車場所に戻れますから安心です。
さらさらさらさら
乾いた雪が降ってきました。
1時間弱で駐車場所に戻ったときは夜闇にすっかり包まれていました。
車のライトで照らします。、
あれ! みんな、帽子やザックをみてごらん
雪が積もって真っ白になっています (^-^)

・・・・・・・・・

家に帰り写真をパソコンに取り込み、苔むした道標や桟道を見ていると・・・、じーんとしてきました。
Cimg6958s おやすみなさい、ゆっくり土に還ってゆく桟道や梯子たち。砂に埋もれてゆく道しるべの文字は消え釘が抜け腐れ落ちていってます。 かつて人の歩いた道は猛烈なスズタケが覆い隠そうとしていました。・・・・。 ここに置かれた人間の痕跡は役目を終え、もう眠りにつきました。 そんなあなたたちの姿を見ることができて、とても嬉しかった。 ありがとう。そして さようなら。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ますます崩れていくあの道を歩くことは、わたしの力量ではもうできないでしょう。きのうがラストチャンスだったと思いました。

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コメント

こんにちは、ご無沙汰しております。

一度歩いてみたいと思っていた
大滝峠上~信玄平間の様子がよくわかりました。

同コースを挑戦したいと思いましたが、
「猛烈なササヤブ」に戦意喪失・意気消沈・・・
でも、廃れゆく道の様を見てみたいとの誘惑はあり、
いつの日か辿ってみたいと思います。

朽ちかけた道標が、消えゆく道を悼む墓標のように見えました・・・
いいものを見せて頂きました、ありがとうございました。

投稿: 峠のむこうへ | 2007年1月28日 (日) 00時07分

おひさしぶりです。山々を歩き”峠”を通るたび、峠の向こうへさんのことを思い出します。ここの峠もきっと歩かれたのだろうなとか・・・・、先日も 秦野峠を見下ろしましたが、道志の人々は、城ヶ尾峠や白石峠を越え、~~、秦野峠を越え 暖かい相模湾まで来たということをしりました。
峠はロマンですね  (^-^)

さて 旧自然歩道ですが、大滝峠上の入口には 「経験者向きルート・注意」と書かれており、 出口の信玄平には同じ立て札のその部分にマジックで×され、径路消滅 通行不能と手書きされていました。

朽ちかけた道標は、役目を終えて安堵の眠りについたようにみえました。 道をはじめ人工物が、これで谷もろとも自然に還れると、ほっとしてるようにも見えました。
その日は、目の前の障害を乗り越えるのにせいいっぱいでしたが、翌日翌々日と、記憶が鮮やかに重くなっています。 
忘れられない一日になりました。

投稿: ba_sobu | 2007年1月28日 (日) 17時03分

初めてお目にかかります。
「俺の山紀行」のM-Kと申します。
「ようこそ!山へ!」さんを師と仰ぎ、
「峠のむこうへ」さんに、お友達してもらっております。

「峠のむこうへ」さんより「貴ページ」を紹介して
もらいました。
今の私は丹沢のヤブ尾根に心を奪われております。
他に目は行きません・・。
素晴しい快挙の数々!。今は丹沢を見せてもらいますが
ジックリと読ませていただきます。

憧れの西丹沢。廃・東自歩道。バケモノ沢・セギノ沢界尾根。
いいものを見させてもらいました・・!
あの辺り常に気持ちが高ぶります。
999m、1003m、廃歩道交点、その上部の密ヤブ・・。
大いに参考になりました。

当方は単独。メットを被り、ゴーグルをつけ、ピッケル、
鋸、ロープを持ち貴兄同様、笹に潜ります。
オロカな行いに自ら呆れ返っておりますが。笹、ヤブ、尾根
沢との格闘?にシビレテおります・・。
また、あの辺りのUPを心待ちにしております。
ありがとうございました。

投稿: M-K | 2007年2月 5日 (月) 20時18分

M-Kさん はじめまして
HPをちょっとだけ 見せて頂きました
これから ゆっくり読ませて頂きます
 わたしなどは 静かな山を歩きたいと思い そして遠くから 雑木林のこんもりした姿に惹かれて つい歩いてしまう ハイカーです

M-Kさんのお話を もっとお聞きしたいとおもいます。
こちらこそ いろいろアドバイスいただきたいです。
これからもよろしく 


※ もしかしたら 歩かれているかもしれませんが
このブログはじめる前にあるいた尾根のことを思い出しました

西丹沢の高指山から切通沢橋まで下る途中の
送電塔台地から北を眺めるとカヤトの尾根が見えます
そのモコモコに惹かれて、切通沢橋から登ってみました
東丸と西丸の中間に出ます。
このカヤトと 栂の大木群が忘れられません


投稿: ba_sobu | 2007年2月 6日 (火) 19時36分

ba-sobuさま

バーソブさまはもしかしてお嬢様でおられますか?
女性は誰しも輝けるヤングお嬢様の時代があったのです!
バーソブは花のバーソブを意味しておられますか?
なれば、私は立派なジーソブであります!

しかし、それにしてもヤブ漕ぎイラッシャイのお嬢様とは
とんでもないお方がいらっしゃったものです!!
世間は広いです。参りました・・。

冗談さておき切通沢橋からの東丸北方鞍部。
ありがとうございます。地形図見ながら行って見たいな・・と
思っておりました。いつかやらせていただきます

今日未知なる尾根、手沢右岸尾根をやってまいりました。
ba-sobuさま云われるところの「尾根を歩けることの喜び!」
私も正にこれでありました・・。
(失礼ありましたらお許し下さい)

投稿: M-K | 2007年2月11日 (日) 23時13分

M-Kさま 
オーホホホホ・・・・・でございます。

山の花 好きな花は サクラソウです
でもやはり 気恥ずかしく ba_sobuに。
でもそのあと、kasumisou とか hakusanichige
などと云う友が現れ ちょっと後悔 
でも、 まぁいいか。と思っています。 
よくみりゃ 可愛い花ですから?

そして ba_sobu = ba~ +  asobu
ばあさんになっても遊んでいたいから。という意味だったのですが
そのうち あの、ばあさん、よくあそんでるねぇ に なるのでしょうね(^^) 

投稿: ba_sobu | 2007年2月12日 (月) 21時31分

ba-sobuさま

残念です! ご推奨の尾根を外しました・・。
後で写真をよく見たら取り付いた尾根の北西側に
かなりの長さでモミの大木の尾根が写って
おりました。 「アアア・・!」でした。

楽しみが先に伸び、より楽しいです。
また行ってまいります。

投稿: M-K | 2007年3月 1日 (木) 11時10分

ではぜひぜひ。
でも、茅のカヤトは 歩くより遠くから眺める方がいいですね。
あったかそうで・・・・
わたしは 東丸行ったことありません。ですからM-Kさんがうらやましいです。

ところでM-KさんのHPの道路情報大変参考になります。

とくに この情報は!!!
>「県道、秦野~清川線の通行止め」開通予定は3月10日辺りの予定と県土木事務所よりお聞きしました。
(公式には20日位に開通予定との事)(042・224・1111)

今後とも参考にさせてくださいませ。m(_ _)m

投稿: ba_sobu | 2007年3月 2日 (金) 17時33分

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