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初めての飛龍山

2006年11月8日(水)快晴

雲取山のとなりにどーんと構える飛龍山、計画を立てるたびに障りが起こり、なかなか行かれない山でした。でもきょうこそ、掴まえた!

後山林道終点あたりに駐車、長尾根を辿り飛龍山に立ちました。長尾根は名前のとおり長い尾根、たいそう時間がかかりました。飛龍山からは北天のタル、三条の湯そしてPに戻りました。

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長尾根の急登はササヤブ漕いでのきついアルバイト、けれど1800mくらいでこんな台地に乗りました。足元にそよぐ笹と黒木は、わたしにとって”奥秩父”そのものの景色、来られてよかったとしみじみ思ったのです。

【コース】 後山林道P 07:50-とりつき08:20-(10)登山道09:15-1320m(長尾根稜線) 09:35-1400m圏10:25(10)-1700m圏11:40(10)-1800m圏12:30(10)-前飛龍からの稜線1940m 13:10(30)-飛龍権現 13:55-△飛龍山 14:15(10)-権現 14:35(10)-北天のタル 15:25(10)-三条の湯16:50-P 17:15
【地図】 昭文社:雲取山 2.5万 丹波、雲取山

7時半ころ後山林道終点についた。平日なのに車でいっぱい。仕方なし、少し戻った路肩に駐車する。登りだしは標高1000mくらい、のっけから紅葉の渦に圧倒された。

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「きょうは長丁場」と分かっている。Cimg5157s でも、ああ綺麗・・・と立ち止まって見とれてしまう。  とりついた尾根は足場が悪い。気を遣いながら這い上がり気味に登ってゆく。左・右そして天井も極彩色。細かな葉を透かし真っ青な空が覗いている。陽ざしの輝きがありがたく嬉しく、こんな日に山に来られる幸せを思う。
Cimg5170s やがて右側からヒノキ林と作業道がやってきて、じき三条ノ湯からの登山道とぶつかる。そのまま尾根なりに道を突っ切り上を目指す。落葉している木が多くなり、スズタケが現れ始めた。
Cimg5180s とりつきから約1時間でやっと長尾根の稜線に乗った。意外にも藪のないアセビの林だった。歩きよいなだらかな道が続く。ときたまスズタケが茂りだすが、藪というほどでなく、すいすい歩いていかれる。    あんなに気負っていたのに拍子抜け、嬉しい”予想外”に、みな上機嫌だ。
Cimg5192s ときおり展望がひらけると、ミサカ尾根や熊倉山のゆったりとした姿が延びている、反対側には飛龍山が貫禄タップリな姿で『早く来いよぉ~、待ってるぜ~』とエールを送ってくれる。(写真左)
1400mあたりで休憩、その後きつい登りになったとたん、大きなに行く手をふさがれた。ホイ来た、と乗り越える。アララ、まただ。こんどは巻かねば。この先、このような石(岩)が道をふさぐけれど、越えて行かれないときは巻く道があるので大丈夫。 イワウチワの葉が春の様子を伝えてくれる。ヒカゲツツジのお姿も見かけたような気がする。Cimg5193s こんな感じでルートに気遣いながら登っていると、いつのまにスズタケが背丈より高く、密になっていた。意外や切り開かれているので、経路を作りながら掻き分ける必要がない。少しは楽なはず。かなり登ったよね、と前を見ると、飛龍や前飛龍は近づいているどころか遠くなってしまった感じ。あーあ、遠いねぇ。どうなっているの? もう11時半だよ、お昼までには(前飛龍に)着けないね。 ゴハンどころかゴホンゴホン、埃も立つヨ。
Cimg5202s そんなときササの間からニョキッと現れたダケカンバの大木、空に向かって枝を広げていた。次々と大きなダケカンバが現れだす。標高が高くなったシルシじゃない? 鷹ノ巣山あたりのダケカンバ、タワ尾根のダケカンバ、さまざまなダケカンバとの出合いをふと思い出した。よっし ガンバルゾ!! ぐいっと台地に上がる。先頭のKさん「なーんかヤブが薄れる予感ヨ」  ほんとだ。ササの丈が低くなった、うほーい、ふつうに歩けるよ。
ここに広がる景色は、わたしの中の奥秩父そのもの(トップの写真)。笹原はゆっくりくつろぎたい魅力に溢れていた。眼下には三頭山の堂々とした山容。大菩薩の山々も嶺から滝子まで一列に並んでいる。そして遠く青い山々は丹沢、みんなで夢中になって「あれが丹沢山、あれが大山、じゃ、あれは大室山ね」と同定にいそしんだ。

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奥秩父の、こんな笹原と黒木の中を歩いていると、スペシャルな感があり、気持ちが高ぶってくる。最後はシャクナゲの木々を抜けて稜線に立つ。前飛龍1954mから一つ北のピークだと思う。はじめて見晴らす遙か西の空には、上州の山々、妙義山や雪のついた浅間山が見え、あらためてここは奥秩父なんだと思わされる。
前飛龍は展望がよいとのことだが、今回はすぐ北の飛龍山に向かうことにした。
ところがここにきてもまだ、飛龍山は近寄りがたい高さで聳えている。えーっ、だいぶ登るのじゃ? もういいよ
、飛龍山あたりに行ったってことでも、なァんて・・・30分が惜しく、つい弱気になってしまう私。

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長尾根から登りついた稜線を振り返る   富士山

なだらかな稜線から飛龍への登りにさしかかると、ふたたび展望が開ける。「あ、富士山だ」 思いがけなく富士山がすっくと空に立ち上がっていた。雪の薄衣をまといメタリックに光ってた、わーお、すっごい! しばし魅入り、感じる時の流れ・・・やっぱり飛龍山に行こう(^-^) せっかく来たんだもん。30分くらい、どうにかなるよ
飛龍権現は、巻き道と山頂への道の分岐点。ここに来るまで思ったより登らねばならなかった、途中で右に下る道が分かれ、いったいどこに行くのだろうと、みなで不思議がった。飛龍山にはシャクナゲの道を20分ほどで、大した苦もなく到着する。今までマーキングが皆無だったのに、この短い道程に紅いのやオレンジのやテープだらけ。倒木が重なるような樹林のピーク(最高点?)を乗り越え三角点のあるピークに立つ、『飛龍山 山梨百名山』の道標も立つ。南が開け富士山や丹沢が見晴らせた。いままで飛龍には展望がないと聞かされていたから、意外だった。

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三角点峰の手前の最高点峰?    飛龍山へのシャクナゲの道

山頂から直に北天のタルに下る案もあったが、もう時間的にリミットなので冒険を避け、飛龍権現に戻り巻き道を歩く。北天ノタルからは夕暮れの迫る道を三条ノ湯に向かう。標高が下がるにつれ、あたりの黄葉紅葉が輝き始めた。

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オオミズナラ、たくさん見かけた    残照のヤマモミジ

夕陽が山陰に隠れたしまった谷に、惜しげもなくばらまかれている赤や黄色、そこを突き進むわたしたちは恍惚感の中にいる。4時半を過ぎ光りはどんどん薄れてくる。それでも紅葉黄葉は輝き続ける。カメラにはうまく取り込めなかったけれど、歩くわたしたちの心にはしっかり刻まれている。やがて川音が高くなり、煙の匂いが優しく心を揺さぶりはじめる。三条の湯(山小屋)の青い屋根が、紅葉の中に見えてきた。
こんな所に泊まっての紅葉狩りって、本当の贅沢かもしれないな、もしわたしに、一泊する時間ができたら、きっともっと遠くの山へと思ってしまうだろう、ここに泊まっての登山が出来るそんな余裕が持てるのはいつのことかなぁ。
三条の湯からは掃き清めたような登山道。あたりはドンドン薄暗くなり、山は色を無くしていく。足早に下り駐車場所に戻ったのは5時過ぎ。帰り支度をしている間にすっかり暮れてしまった。

Cimg5233 飛龍権現

あらためて ことし最高の紅葉と 秩父の山深さを知らせてくれた飛龍山に感謝です。

こんどはぜひ 岩岳尾根から登らせて下さいませって、
お願いしておきました・・・・(^_-)

では また  (^^)/~~~

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コメント

お早うございます。飛竜のピークを踏んだ感動ぶりが伝わってきます。天気も良くとても楽しかったですね、ba-sobuさんもyamaさんや私のような駄洒落病にがかっていませんか?病気が移らないように気をつけてね(^_-)-☆
ba-sobuさんの気がかりの尾根は孫左エ門尾根かと思いますがどうでしょう?というのは下りたルートの直ぐ隣だったので。カンバ谷を渉ってトラバースをして中尾根に取り付いたコースを下りていますので。
実は昨日、孫左エ門尾根の突端から登りましたが、カンバ谷の(カーブして崩れていた所を覚えていますか?)を渉ってから少し下った所に33-22の数字の入った水源の管理の道標に出ました。(予想通りでした。)
紅葉は1200m付近が最高を保っていましたが、こちらの尾根は晩秋のムードがありました。雪が降って寒かったので飛竜は割愛し三条のダルミまで稜線を歩いたり巻いたりしながら、そして水無尾根を下りましたがこちらも1200m付近から小屋辺りまでは目を見張る見頃の紅葉でした。最後に憧れの湯に入って帰りました。ぬるぬるした湯で、窓から外の紅葉が見られとても良い気分でした。パートナーもとても喜んでいました。近いうちに私のブログにアップしますので訪問してみて下さい。baーsobuさんの様に詳しくないですが。

投稿: フクシア | 2006年11月13日 (月) 07時41分

フクシアさん おはようございます。あの紅葉を思い出したっぷり堪能できたのかとうらやましい限りです。オマケに三条の湯にも入られたなんて。
昨日というのは 日曜ですよね 「雪が降って寒かったので」って、上の方は雪だったのですか。なおさらお湯が効いたのでしょうね。(^-^)

孫左ヱ門尾根ですか、もすこし遠くに思えたのですが。林相は見た目のとうりな雑木林でしたか?。 未踏の三ツ山を踏みにフクシアさんの後追いをしてみようかな?  でも いつのことになるやら・・です。
ありがとうございました。

投稿: ba_sobu | 2006年11月13日 (月) 09時03分

こんばんは!お久し振りです。わたしは二回禿岩に登りましたが、飛龍には一度も登りませんでした。
もう雪が降ったのですね、道が雪で閉ざされる前に今一度、一之瀬に行く予定です。

いまさらですが、リンクさせていただいております。ご了解宜しくお願いいたします。

投稿: 峰 | 2006年11月13日 (月) 18時37分

こんばんは~
長尾根登ったのですね!先越されちゃいました(笑)
飛龍禿岩は飛龍権現から3分で着きますよ。次回は是非・・・ですね。
あと、飛龍三角点から南東へ延びる尾根に沿って登山道と言ってもいいような道がありますよ。北天のタルからだと下に置いてある小さな道標に気が付くはずです。ここを下れば三角点から巻き道まで10分かからず、権現経由より30分は早いと思います。気が付いていたかもしれませんが、念の為。。

投稿: yamyam | 2006年11月14日 (火) 00時32分

峰さんこちらこそ、おひさしぶりです。といってもときどき覗かせていただいておりますが。
わたしなど、かなりいい加減な山登りばかりで、おはずかしいかぎりです。ときどきは奥秩父というところにも行ってみたく、そろりそろりと、ほんの入り口をさまよわせていただくのです。そして、さすがに・・・と、感じ入っております。あの独特の雰囲気は温かい(親しみぶかい)ようでもあるのですが、おそろしい感じでもあるのです。
リンクの件存じております。どーぞ、末席にひっそりと置いといて下さいませ。

投稿: ba_sobu | 2006年11月14日 (火) 00時39分

yamyamさん、こんばんわ、
北天ノタル尾根通しのこと、事前に知っていたら・・・と思いました、
三角点峰からよい道が降りているのは気づきましたが、既に2時半。
初めての山域で、もしその道がシャクナゲの密ヤブや倒木煩わしい道だったら、かえって時間がかかると思い、時間の余裕のない時は少し遠くても確実な方がよいと思いエアリアの赤線を選びました。
北天ノタルで振り返り尾根を見たらけっこうシャクナゲが繁っていたので、巻き道にして正解と思いましたが、そうですか、手前に降りちゃうのですね。 禿岩は惜しいことをしました。先を急ぎすぎていました。
惜しいところ、いっぱい残してきちゃいましたね。でも、また行くからいいもん!! これは やせ我慢です。
また行きたい飛龍山。見所、穴場、いろいろお教え下さいませ (^-^)

投稿: ba_sobu | 2006年11月14日 (火) 00時53分

8日は長尾根に行ったのですね。私は三頭山でした。
長尾根は昔、御岳沢を遡行した際に上部で長尾根に出た経緯があります。記憶はほとんどありません。記録を読んでいると、うっすらとトレイルがあったのですね。この尾根に登山道があればわざわざ「竿裏峠」まで大回りをしなくてすむのですがね。でもこうした手入れをされていない尾根は残しておいてほしいなどと、都合のいいように意見をコロコロ変えてしまい苦笑です。

この日の短い季節にこんなロングの尾根バリを選定し、実行するタフさに驚きです。見習わなければいけません。恐れ入りました。

投稿: おっさん | 2006年11月14日 (火) 13時32分

おっさんさん 三頭山はどの辺りを歩かれていましたか?
飛龍から眺める 三頭山はその山裾までの全身が太く大きく立派でした。
初めて三頭山に行ったのは都民の森からの公園のような道でしたので、大きさを感じることが出来ませんでした。その後、鶴峠や他の尾根を歩くようになり、やっと「三頭山はでっかい」と思うようになりました。まだまだ歩きたいところたくさんある山です。

飛龍は9月の計画をスライドさせたもの、正直長尾根にあんなに時間がかかるとは思っていませんでした。それに今回はに”強い”仲間おりましたので、おかげで歩くことが出来ました。

そういやむかし、飛龍は雲取山の隣のあの山だ と教わり、三ッ山の凸凹のことだと思い、あのうねり方はさすが龍が空を飛んでいるようだ!! と感心し、しばらくは三ッ山のことをを飛龍と思っていました。

明日の水曜日 山は寒そうですね。もう葉っぱは散ってしまっているかなぁ。

投稿: ba_sobu | 2006年11月14日 (火) 21時42分

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