巨木美し日原小川谷源流域
2006年11月18日(土) 晴のち曇
日原の小川谷源流域を歩きました。尾根をわたり延びてゆく上段歩道はいくつもの林をぬけてゆきます。そこには表情豊かな巨木たちがいました。(^^) 見上げながら触りながら歩くうち、葉を落とした裸の美しさに目をひらかれてゆきました。それはわたしにとってドギドキする出来ごとでした。
1480m峰付近のダケカンバ
【コース】小川谷林道終点P07:30-三又07:50-滝谷 09:05(20)-1480m 11:50(50) -巡視路 13:20-酉谷山△ 13:55(10)-酉谷小屋 14:15(20)-三又 15:40(25)-P16:30 【地図】 昭文社:奥多摩 2.5万:武蔵日原
沢沿いは遅くまで紅葉が楽しめます。山腹は裸木たちのベージュの毛布でこんもり覆われているのに、沢沿いは艶やかな赤や黄色のグラデーション、赤はヤマモミジ 黄色はおそらく チドリノキ・・・? そんな沢道を三又に下りました。
四間小屋尾根にとりつき、カラ松林を登り、上段歩道に入ります。若いブナ林の中を滝谷方向に下ります。”すりばち”のような撓みには、陽がまだ入ってきません。灰茶色の落ち葉の広い斜面に、ぶなの木が点々と寒々と静かで、まるで幕開きを待つコンサート会場のような雰囲気です。
わたしたちは、ふかふかな靴の感触を楽しみつつ、時々現れるブナ親分にあいさつしながらくだっていくと、緑の苔石が広がる源頭の風景がひろがっています。
あっ~・・・・、空気が変わったと気づく瞬間です。まわりにはそこいらじゅう、のっぽのシオジたちが居並んでいるのです。
おどけた顔のウロのある木もあります。カツラの木も伸びやかに天に向かっています。こんな落ち葉のひろがりに上段歩道は一条の窪みとなって延びています。僅かな窪みは行くてを微かに示してくれてます。そんな道を歩かせてもらっているのです。そっとそっと、壊さないようにと、歩いていきます。
どっしりとたカツラの木。わたしたちは斜面を下っています。向かうは滝谷には陽がさして黄葉が輝いています。沢音が聞こえてきます。
ホラ、見えてきました。滝谷に向かってまだまだ下って行きます、沢の音が大きくなりました。前方の谷底から眩い光が溢れてきます。
滝谷のほとりでいっぷくし至福の時をすごしてから、沢をを渡ります。
そしてチドリノキの黄金色の中を這い上がるように尾根に上がりました。
青空を仰ぎ息をつけば、尾根上にも大きな木が待っていてました。
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・つ栂と?の合体木
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この木を目印に尾根を乗越し下ります。谷底には再び黄金色の渦巻きがあり、次の尾根を上がれば若いぶなの木の優しい林がひろがりました。
尾根と谷のうねりを、こんなふうに感じながら歩ける幸運はめったにありません。ですからきょうは、なんとも貴重な経験です。谷から上がれば新しい尾根が姿を現し、その尾根を越えれば、別の新しい谷が待っているのです。
落ち葉の敷き詰められたこんな鞍部をわたります。
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ここからは、1480m平頂に繋がる西の尾根を登ります。木の間越しにウトウノ頭。↓
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・どでかい木がでてきました。これは何の木?? やっぱりシオジかな?
やがてダケカンバの林になりました。あれもこれも、、カンバだらけ・・・・灰白色の照りが美しい。 はじめてタワ尾根を歩いたとき見たダケカンバとおなじやつ。
こんな木が何本も姿を見せます。
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↓この木は 栗です。 イガがたくさん落ちていたので分かりました。
わたしはこの木が大好きです。横に張りだしている枝の具合が、熊さんが座るのにちょうど良いんだもの。まだ栗の実が木にいっぱい成っているとき、熊さんがこの枝に腰掛けて、背中を幹に寄りかからせて、夢中になって栗を食べていたと思うのです。
左は 「ダケカンバのなかのダケカンバ!」・・・木の皮の剥がれ具合もサマになってますよね? (^_^;)
1480m峰はこんなダケカンバの林でした。(トップの写真)
枯れたスズタケが、つい最近までヒトを寄せ付けない場所であることを教えてくれます。
ランチをいただきながら、わたしたちは静けさにどっぷり浸っていました。
曇り空の下のすっかり落葉したダケカンバ林は、寂しい色合いでした。
芽吹いて新緑になるころはホントに素敵でしょうね。来てみたい、心から来てみたい。
でも今のこの季節、木はそれぞれの個性、存在を、わたしたちに見せてくれたと思うのです。
1480m峰から鞍部におり登り返すところ、大きなブナが見下ろしていました。
長沢背稜の巡視路に出れば30分で酉谷山に到着。
わたしのジンクス「酉谷山は曇る」は今回もアタリでした。トホホ・・・
酉谷小屋で小休止したのち、登山道を辿って三又まで下りました。すでに陽ざしは弱まり、照らす力はありません。川筋の紅葉は今まさにサカリ、陽ざしは弱くても美しさは充分。
きょうは最後の最後まで、愉しませてもらえました。三又でゆっくり飲んだコーヒーも忘れられない・・・
きょうは、いつもの尾根を登り下るのとは違ういっぷう変わった山歩き。尾根の起伏をなぞるという・・・不思議な感覚。こんな一日をえられたのもkomadoさんのおかげと、気持ちよく反芻していたら
「カラカラ、きーきー。」
なんだ?なんだ? 猿だ。
アレェ~ わたしたちが帰る道の崖の上からこっちを見てるよ。
案の定、谷キワの細い登山道を歩いているとき、大きな石を落としやがった。危ないぞ、ぶつかるとこじゃない? 「こんにゃろう!」なんて言ったのは誰?(もちろんわたしじゃありません)
猿は恐いよ。
ではまた (^^)/~~~
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コメント
女子供の旅にはまだ敵があった、野猿である。無力の人間の通行を見ると野猿は襲うのである。石を投げ、樹枝を折って投げ、からかうように追ってくるのであった。
あそこは帰路につく前からイヤな感じがしてたんですけど、やっぱりアイツらわざとかも(笑)。昨日岩科本(大菩薩連嶺)を読んでいたら偶然見つけました。
投稿: komado | 2006年11月23日 (木) 09時29分
中里介山の「大菩薩峠」の出だしも、お松(少女)が野猿たちにおむすびを取られてしまう場面から始まります。石とか投げられるんですよ。
先日の落石?投石?のあのタイミングは わたしがねらわれた気がします。目の前2メートルだったから、 わたしがいちばん弱そうにみえたんじゃないでしょうか?
真夏の暑い昼下がりの誰も歩いていない街中で 電線のカラスに おしっこをひっかけられた経験あります。 あれは絶対、わたしが下を通るタイミングをねらっていました。そもとき動物っていたずらを意識してするモンだと思いました。
去年の鶴ヶ鳥屋でも おさるたちは ずっとわたしたちを追っかけてきましたよね。仲間を呼び寄せたりもしてるんじゃない?
ということで 今後 猿には気を付けなきゃ・・・いけませんね (笑)
投稿: ba_sobu | 2006年11月23日 (木) 16時16分
詩的な世界にただただうっとり見入っていました。
ba_sobuさんの文章にも魅せられてしまいました。
山の素敵な一面を見た気がして、ちょっと一緒に歩いた気分にさせてもらいました。・・・。
お猿さん。私はおむすび山から高川山にかけて歩いた時、出会ってしまったのです。何十匹とかいたので怖かった!
眼を合わさないように遠回りしました。
投稿: kage | 2006年11月24日 (金) 21時18分
kageさん こんばんわ
コースをうまく説明できないので、感じたことをメインに書きました。
一緒に歩いた気分になれました??
嬉しいです。
自分でも何度でも反芻したい山旅です。
お猿軍団は 追っかけてくるからこわいですよね、
前 ひとりで歩いているとき 八菅山(丹沢・愛川)で でっかい猿たちがでてきて、脅かす気配なので恐かったです、顔が赤いし歯をむき出すし・・・。
投稿: ba_sobu | 2006年11月25日 (土) 00時37分
ご存じかも知れませんが、小川谷林道は12月4日
から来年の1月中旬まで通行出来ません。
12月6日久しぶりに奥多摩へ出かけました。
「日原の小川谷源流域を歩きました」(2006年11月18日 )
を読み四軒小屋尾根を登りたくなって出かけたのでしたが、林道を
走行出来無いため、変わりに一石神社からウトウの頭までピストン
して来ました。 葉の落ちた静かな尾根歩きを楽しんできました。
投稿: 川崎登人 | 2006年12月 8日 (金) 07時01分
【、小川谷林道は12月4日から来年の1月中旬まで通行出来ません。】
貴重な情報ありがとうございました。
アテにしていた林道が通れないとガッカリしちゃいますね。
でも静かなタワ尾根歩かれて・・・、さすがに平日は人はいなかったのでは? 人形尾根のミズナラが有名になってから,金袋山あたりまでは結構人が多いと聞きました。
四軒小屋尾根始めて歩いたのは新緑の頃です。このころはブナの芽吹きが素晴らしかったです、
http://1203.air-nifty.com/_aozora/2005/05/post_87ee.html
林道が開いたら再挑戦なさいますか?
ぜひ様子をお聞かせ下さいね。
投稿: ba_sobu | 2006年12月 8日 (金) 17時35分
>林道が開いたら再挑戦なさいますか?
次は新緑の頃を狙って三又ー四軒小屋尾根ーウトウの頭
ー滝谷の峰ー酉谷山ー七跳山を回って見るつもりです。
また上段歩道も訪れてみたいと思います。
以前にネズミサス尾根の登り口と、小川谷林道が通行できる
事を教えていただきましたが、6月にネズミサス尾根を、
それから10月に小川谷林道-七跳尾根-酉谷山-三又と歩いて
みて奥多摩の緑のすばらしさに改めて感激しました。
住まいの川崎からは片道2時間半ほども掛かり、そのため
奥多摩には2ヶ月に一度ほどしか足を伸ばせません。
以前に東日原から横スズ尾根経由で酉谷山を往復する
ために、川崎を午前3時に出発して、自宅に戻ったのが
午後8時過ぎと言う具合で、奥深い酉谷山方面は諦めて
いたのですが、小川谷林道を使えれば、時間を大幅に
節約できて、無理せずに日帰りも楽しめます。
普段は主に丹沢方面で、週一回程度登っています。
丹沢には塔の岳に年回400回以上登っている畠山さん
という猛者が居られ、私も負けずにと頑張っていますが、
彼の8分の1ほどしか登れませんが、年齢を考えると
十分かなと自己満足しております。
これからも素晴らしい写真と、楽しい文章を楽しみにして
おります。。
投稿: 川崎登人 | 2006年12月10日 (日) 10時34分
こんにちわ
わたしのこんな情報でもお役に立てて嬉しいです。
丹沢にはよく行かれてるのですか?
川崎からですと 小田急側(車でも)からですよね?
丹沢にも良く行きます、というかわたしも地の利は丹沢なので
いちばん行きやすいと思います。
ぜひ丹沢のお薦めなど おおしえください、
岩、沢はできませんが・・・
これからも ・・・ よろしく。
投稿: ba_sobu | 2006年12月10日 (日) 14時28分