城ヶ尾峠~地蔵平~畦ヶ丸
西丹沢の水晶橋から 城ヶ尾峠をこえて地蔵平を訪ねました。 大正~昭和初期にかけて、大又沢流域では木材搬出が盛んで、森林軌道の起点でもある地蔵平は、最盛期には200戸を超える民家や、小学校の分校もあったということです(”丹沢今昔”奥野幸道著 有隣堂 ) ←現在の地蔵平にはその面影もなく、だだっ広さが、妙に沁みます。
2006年2月11日(土) 晴れ 水晶橋まで車で入り、林道を20分ほどで登山口につく。三日前の陣馬山には雪が全然なかったし、家から見える丹沢もそんなに白くはなかったので、まさかこれほどの雪が広がっていようとは思ってもなかった。
北斜面を登る、雪はさらさらして気持ちよい。杉林のジグザグを登ってゆくと尾根上に、光さす雑木林が広がる。わたしも朝日を浴びていると、活力が湧いてくる。やがて道は尾根をはずれ、日陰の雪の斜面をトラバースしはじめた(写真左上)。深い谷に刻まれた道は高度感がありおそろしい。ロープのおかげで足が震えずにすんだけど。じき前方の稜線から陽ざしが洩れてきた。近ずくにつれぐんぐん明るくなる(写真右上)。城ヶ尾峠(1160m)である。地蔵平へは峠からでなく、城ヶ尾山(1191.1m)から尾根を伝って降りることにし、西に向かった。
稜線は陽ざしに溢れ、雑木は幹の模様をくっきりと浮き上がらせていた。そんな道を弾むように歩いていく。城ヶ尾山からは木の間ごしに富士山、北には御坂と大菩薩がたなびき、その間に南アがぼやっと浮かんでいる。南側は霞がかった白い広がりの中にオレンジ色の海の気配がした。 いよいよ降りる、初めての道。尾根全体はうすい笹に覆われているが、大ブナやミズナラもあり菰釣山南尾根によく似ている。じき城ヶ尾峠からの道と合流、階段や道標も出てきた。明るい雑木林の道、立派なブナやミズナラが目を楽しませてくれる。思ったより植林が多いのも大又沢の歴史を思えば納得だ。
雑木林のひだまりの道に、朽ちたベンチがあった、左からよい道があがってきている。「信玄平?」そう、ここが信玄平だ(980m)。(写真右上)傾いだ古い道標、やや新しい?三方向の道標は、旧東海自然歩道の部分が切り落とされている。 降りるにつれて植林が優勢になり、やがて道は尾根を左にはずれジグザグに下り出す(写真左下)。沢の音が近づいてきた。
植林を抜けると何とも明るい小沢に降りた。地蔵平の端っこに到着だ(写真右上)。次のバケモノ沢は小さいけれど水量が多く、用心のため靴を脱ぐ(私だけ)。ススキだとかカヤだとかの茂る中、林道沿いに進むとがらんどうの広場に出た。地蔵平である(600m)。もっこりした744m峰が青空にせりあがっていた(トップ写真)。富士見峠からの林道をあわせると地蔵尊の祠。「かつてここに小学校もあったそうよ」「子供の声がしてたと思うと感無量だね~」 小学校も、民家も、森林軌道,も、跡形を残さず、すべてを始末して撤退していったのだ。
さぁ、きょうのとりつきのバケモノ沢とセキノ沢の出合だ。地形図どおりの急坂、標高を稼ぐのみで味気なし。 744mピークを越えると先ほどの林道が横切っていた。うるさい茂みから解放されほっと息をつけた。尾根上は相変わらずのヒノキ帯で、ササがかぶっていたが、径路もありすいすい行ける。広々とした雪原になったり、雑木帯が残っていたりする(ささやかな展望にリフレッシュ)。勾配に緩急がつき尾根筋もカーブを描いていたりで、単調なヒノキ林にも変化がでてきた。
『どーせそのうち植林も切れるだろさ、そこまでの辛抱だ』と思ってるのに、濃緑の薄暗い林は終わらない。999m峰を越えても小ピークを次々に越えてみても・・・あ~あ。 でも1003m峰をのっこすと明るく開けた! 雪原が眩しいブナ林。目の前に広がるのはバケモノ沢をぐるりと取り巻く稜線と雑木の斜面、くっきり樹形が浮かび上がるのは大ブナと思う。三角の緑は大栂か大樅だ。すぐそばにも立派な木々があった。そんな景色を前に太陽の光を存分に浴び、深呼吸。
「お昼の場所にいいとこないかなぁ~」と写真を撮りながらゆっくり歩いていく。 稜線の左にはヒノキ林が続いているし、雪面に笹がぼさついている、だらだら続く登り勾配に決め手を欠くうち、旧東海自然歩道に出た(1030m)。封印された道だ、朽ちかけた道標がポツンと置き去りにされている。
お昼はあとのお楽しみ。エッサホイと尾根を詰めていたら、笹が徐々に濃くなり、けもの道も途絶え、ヤブコギがしんどくなってきたので右に逃れる。セキノ沢の源頭だった。 再びササヤブを漕いで、20分ほどでやっと稜線にでられた。
しかし、すぐと思っていた畦ヶ丸避難小屋までは遠く感じつらかった。ジグザグの階段を曲がるたび、期待の小屋の姿が見えずがっかりの連続、ようようたどり着きお昼にありつけたのは2時近く、畦ヶ丸(1293m)出発は3時近くになっていた。
快晴の陽ざしはこんな時間でも強いエネルギーを放っている。わたしたちも高いテンションのまま、畦ヶ丸から境界尾根への吊り尾根を繋いでいけた。薄い雪の尾根道に、形のよいブナの木、両側の谷は深くそぎ落ち、爽快な気分で歩いてゆく。
モロクボ沢の頭(1190m)でザックをおろしいっぷく、「さぁ、あと1時間、、、」残る楽しみは城ヶ尾峠までの稜線漫歩だ。ところが、アップダウンにメリハリありすぎ。「大界木山(1240m)を越えるだけ」は勘違いで、疲れた足には何でもない小ピークさえ気合いが必要だった。
それでもピークをのっこすと、西に傾いた太陽の陽ざしは明るく、長い影が雪面にのびている。「ほら、」左(南)の谷のむこうにふたこぶの山、「あれが屏風岩山で、手前のが、きょう歩いた尾根ですよ」 なるほど稜線は緑のヒノキに縁取られ、なんとマァ穏やかに横たわっているのだろう。そして城ヶ尾峠の道標には誰かの作った雪だるまがちょこんと乗っていた。
憧れのルート歩き終え、けさきた林道を戻ります。おつかれさま・・・(^^) おつきあいくださいましたkomadoさん、ほんとうにありがとう。(^^)(^^)(^^)
水晶橋07:30-とりつき07:50-城ヶ尾山08:40(10)-信玄平09:30-地蔵平10:20~10:55-縦走路13:40-畦ヶ丸避難小屋 13:55(畦)~14:55-モロクボ沢の頭15:15-城ヶ尾峠 16:25 -水晶橋17:00
ではまた~ (^-^)/~~~
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